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斎藤 工 俳優

ただの再現ではなく 実体験をリアリティと共に映像芸術に昇華させた水井監督 湿度・皮膚感とファンタジーの融合 早くも水井監督の次回作が楽しみである

しいなえいひ 女優

当事者にしか知り得ない出来事と心情を、 リアルな呼吸として映像化した衝撃作。

加害者も被害者も傍観者も、この映画の前では、 ただただその姿を無防備に剥き出しにされる。

目を背けることのできない純度100%の「ら」という傷跡。その穢れの無い佇まいは、 私たちの胸に、決して薄まる事の無い傷として 刻まれ続けてゆくだろう。

金子修介 映画監督

『ら』は痛切な映画で、観ていて切なくなる。加弥乃が好演。自称「世界で一番可愛い監督とネットで言われている」新人・水井真希監督の強姦未遂の実体験と、その後に男=畜生が起こした事件展開、事件後に受けた精神への影響を具体的に映像化していて分かり易く、西村喜廣プロデューサーの手腕も見事。

井口 昇 映画監督

監督自身の体験を映像化したという暴行描写は、 それを納得させる程あまりにリアルで惨たらしい。 しかし水井監督は事実の羅列だけにさせず、残酷な美しさに満ちた「映画作品」として作りあげた。その演出の的確さと腕力は本当に凄いし、脱帽しました。

水井監督のどうしても撮らざる得なかった真摯な意志が、傷つけられた女性達への鎮魂歌を奏でているようにも思えて涙が流れました。

やましい欲望を抱えている男性はこの映画を観て、 改心しようぜ!

草柳和之 大学非常勤講師  専門:臨床心理学・カウンセリング

たとえたじろいでも目を逸してはならぬ時が、我々にはある。レイプ問題はその一つだ。映像で展開される加害者の薄っぺらな犯行動機と、被害者の恐怖や底知れぬ苦しみの間にある絶望的な隔たりは、余りに悲しい。

トラウマケアと犯罪加害者の心理療法に携わる私にとって、被害者の自責の念や、周囲の人がよかれと思ってした行為が当事者を苦しめる二次被害の描かれ方は鮮烈で、専門職の研修で活用したいほどだ。

また、かつて別の映画で使用されたピーター・ミラー作曲Spirits Songを背景音楽に選曲したのは、絶妙というほかはない。社会にとって必要な映画が、ここにまた一つ誕生した。

おかひでき 映画監督

ポストを開けたら「世界一かわいい監督より」と書かれた封筒が出てきた。いまや女性監督なんて珍しくもなんともない日本映画の世界だから、水井真希が世界一かわいい監督かどーかは、かなり怪しい。でも中に入っていた彼女の初監督作品、映画『ら』は、すごかった。

見知らぬ男に拉致された少女の事件後の苦悩が綴られているのだが、かなりキツイ。見ているこっちの心がいじられる感じ。鑑賞したのが朝で良かった。監督の実体験そのままというスキャンダラスな売り方だけど、それに釣り合った中身がちゃんとある。とても良かった。主演の加弥乃と抑制されたキャメラが良い。映画の開幕から35分間は神だ。その後の展開は意見が別れるだろうけど、そこは人それぞれで、水井監督的には後半こそキモなのだろう。

上野千鶴子 WAN理事長 社会学者

少女は、無力の代名詞だ。
無力であることに、少女は責任を持たなくてもよい。
なぜなら少女は無力だから。
おのれの才覚と機転で難を逃れた少女はそのために自分を責める。
無力でなかったことは罪なのか?
こんな不条理がいつまで続くのだろうか。